遥かなる蓮華温泉への道

★当日の行程・・・
小針→(JR越後線)→吉田→(JR越後線)→柏崎→(JR信越本線)→直江津〜直江津駅南口・・・
労災病院→(急行・糸魚川線)→糸魚川バスターミナル・・・糸魚川駅〜糸魚川→(JR大糸線)→
平岩〜平岩→(蓮華温泉線)→蓮華温泉・・・蓮華温泉ロッジ・・・蓮華温泉→(蓮華温泉線)→
糸魚川駅前〜糸魚川→(JR北陸本線)→直江津→(JR信越本線)→新潟→(JR越後線)→小針




ショートカット 1 / /

2003年8月15日 金曜日

この日は平日であったが、世間ではお盆ということで道路も駅も人は疎ら。
まだ夜も明けきらぬ薄明るい空の下を旅のスタート地点となる実家近くの駅まで自転車で向かったのだった。


◆小針5:14 → 吉田5:53 (JR越後線 120M モハ114-501)

越後線始発は弥彦色

まずは越後線廻りで第一の目的地である直江津を目指す。
越後線の始発は数年前にまでは115系4連だったのだが、その後のダイヤ改正で弥彦線用のトイレなしのワンマン2連が入るようになった。始発便というのは夜行で新潟に来た人や朝帰りの人で意外と混雑するものなのだが、そこにワンマン車輌を投入すると当たり前のように車内はゲロ混みとなる。
この日もやってきた電車にはすでに立ち客の姿が見えていた…
幸い、新大前で近くのボックスが一つ空いたのですかさずそこを確保。吉田までのんびりと移動した。


◆吉田5:56 → 柏崎7:09 (JR越後線 122M クモハ115-1561)



昔は越後線の始発は柏崎まで直通だったのだが、現在は吉田で一旦打ち切られる形に変更されている。
吉田では乗換時間が3分しかないため、乗り継ぐ客は跨線橋を急ぎ足で登り、1番線の電車へと乗り換える。乗り継いだ電車も結局2両編成。しかし、越後北線と違って乗客が少ないため、これでも空席だらけだった…
出雲崎を過ぎた頃には時刻も6時半を過ぎ、ここからは部活へと向かう高校生が各駅から乗車してくる。盆のド真ん中でありながら、先程までガラガラだった車内はあっという間に通学列車へと様変わりしてしまった。
その学生さんたちは高校が多くある終点一つ手前の東柏崎駅で下車。再びガラガラになった電車は程なくして終点の柏崎へと到着した。

さて、乗換まで20分ほど余裕があるので一旦改札の外へと出てみる。
さすがに朝7時だとまだ街は動き出しておらず、人も車もほとんどいなかった…
と、営業所方面から一台の越後柏崎観光の路線バスが1台やってきた。運のいいことにそれは相鉄バスの中古! カバンからデジカメを取り出し、すかさずカメラに収めたのだった。
元・相鉄の畔屋ゆき165号車


◆柏崎7:27 → 直江津8:08 (JR信越本線 1324M モハ114-1061)

その後、構内の立ち食いソバ屋で軽く朝食をとり、いい時間になったので再びホームへと移動。
ほどなくして長岡発直江津行の普通電車がやってきた。



朝が早かったためか乗った直後に寝落ちしてしまい、目が覚めたら犀潟を出たあたりだった…
電車は直江津へと到着。本来ならばここから8:15発の北陸本線へと乗り継ぐのだが、今回は乗らない。
何故かというと、2003年10月に廃止が決定している直江津〜糸魚川の急行バスに乗車するためだ。

直江津駅

ホームに待つ高岡行きの食パンが私を誘惑していたが、ここはグッと堪えて改札を出た。


◆直江津駅南口8:18 → 労災病院8:25 (徒歩)

直江津駅南口の階段を下ると、そのまま住宅街の中を徒歩で南下して労災病院へと移動した。
これから乗る糸魚川行きの急行バスはこの労災病院が始発となっており、ここはやはり始発から終点まで完乗を目指したいのでここから乗車することに決めていたのだ。

直江津駅南口と労災病院


◆労災病院前8:49 → 糸魚川バスターミナル10:07 (頸城バス 長岡22か736)
※ この路線は2003年10月1日付で廃止になりました。

時間があったので労災病院のロビーでしばし時間を潰したのち、再び正面玄関へ出てバスを待つ。
やってきたのは観光バス→高速バス→急行バスという素晴らしい経歴をもつR3ボディの急行バス。
この車、てっきり日デとばかり思ってたら三菱(P-MS725S)だった…

糸魚川線用急行バス (P-MS725S)

朝の9時に病院より乗るお客など到底いるわけも無く、私一人の貸切状態で発車。
そしてバスは直江津中心部のイトーヨーカドー前でお客を拾い、五智の旧道を一路糸魚川方面へ。

頸城バス本社前と虫生岩戸の急坂

郷津の交差点で8号に合流すると、バスは一気に加速した。この瞬間がいかにも急行バスらしい。
左手に北陸本線の廃線跡を眺めつつ、3キロほど走ったところでバスはいきなり左ウィンカーを出して谷浜の集落へと入った。右手に見える谷浜駅からはちょうど直江津へ向けて電車が出るところで、窓越しに汽笛が聞こえた…。バスは谷浜駅前の旧い商店街の中をすり抜け、再び踏切を渡って8号へと復帰した。

谷浜駅入口の標識と谷浜(長浜)集落

バスはその後も8号線を快調に飛ばしてゆく。名立町を抜け能生町に入ると、糸魚川へ向かう乗客が乗り始め、車内は序々に混雑し始めた。この界隈では如何せんバスも電車も本数が少ないので、数時間に一本来る路線バスは車を持たない住民にとっては貴重な足なのだろう。この光景を見ていたら、一ヵ月半後に迫る糸魚川線の廃止が非常に残念に思えてきた…
年配者ばかりを拾いながら、バスはマリンドリーム能生の横を抜けて能生市街へ。…とは言っても急行バスは路線バスと違って能生の街中は通らず海岸線の8号バイパスを通るので、右手に相変わらず整備された護岸と日本海を眺めながら、バスは能生の町を抜けていった──。

能生町境界と高見崎

高見崎を越えるとバスはいよいよ糸魚川市へと入った。浦本駅を抜けると車窓は一変し、今まで左手に大きくせり出していた山々も、右手に見えていた海岸線もいつの間にか姿を消し、住宅街の中をバスは一路終点の糸魚川バスターミナルへと向かった。
あらた浜を越え海川を渡ったところでバスはついに8号に別れを告げ、県道西中糸魚川線へと入った。ここからはもう糸魚川の街中。旧い商店などが見え始め、しばらくして糸魚川駅到着を告げる車内放送が流れた。
直江津を出て70分、頭上の運賃表示器も真っ赤になり、私の後方に座っていた乗客も降車準備を始めた。
私は完乗を果たすため、糸魚川駅では降りず終点の糸魚川バスターミナルまで乗る予定だったので、忙しく降車準備を始める他の乗客たちを横目にまったりと終点までの僅かな時間を過ごした…

寺町の県道と数字が溢れた運賃表

10時過ぎ、ほぼ定時に終点の糸魚川バスターミナルに到着。運賃1070円を運賃箱に放り込み、ステップを降りた。糸魚川駅から少し離れたところにある糸魚川バス本社は盆ということもあり、多くのバスが車庫に眠ったままでとても静かだった。


次に乗る予定の大糸線まで一時間ほどあるので事務所に許可を頂き車庫を見学させて貰うことに。
昔見たときは旧塗装の3Eがウジャウジャいたのに、時代の流れなのか、200ナンバーを付けたキュービックやエルガの姿も目立つように。子会社ながら積極的に新車を入れているようで、車庫全体の車齢はかなり若返っていたようだった。
ひととおり写真を撮った後、再び事務所へ顔を出しお礼を言う。そこでお礼ついでにバスカードを一枚買おうかと考え、事務所の職員に「バスカードありますか?」と聞いてみた。

「良いですよ。ちょっと待ってて」と言って職員氏は奥のデスクへ。
間も無くして戻ってきた職員氏の手には何故か使用済みのバスカードが握られていた…
「ごめんねー、ゴミに出したばかりでコレしか無かったわ」と言いつつ数枚のバスカードをこちらへ渡してくれた…
「あの、バスカード買おうかと思ったんですけど…」と言うと、向こうはハッとした顔をして苦笑い。
「いやー、マニアさんだからてっきり使用済みカードが欲しいのかと思ったんだわ。あ、折角だからそのカードも持ってったら?」と言われてしまったので、折角のご好意ということで使用済みカードも一緒に頂いた。

その後はしばらく事務所で談笑。これから蓮華温泉へ行く旨を話すと、徐に電話の受話器を取り、蓮華温泉線を担当している運転士へ昼の便に一人乗る旨を電話していた…。何か恥ずかしい感じが…(笑)

糸魚川バス


◆糸魚川バスターミナル10:56 → 糸魚川駅前11:03 (徒歩)

糸魚川バスターミナルに別れを告げ線路沿いに糸魚川駅へ。

糸魚川と言えば翡翠と奴奈川姫。ということで、糸魚川バスのバス停は翡翠色で奴奈川姫がデザインされている。結構な数のバス停を今まで見てきたが、個人的にはこの糸魚川バスのバス停がかなりお気に入りだったりする。駅前まで来ると、しらゆり型のバス停が早速お出迎え。思わずカメラに収めてしまった。

糸バスのバス停看板


◆糸魚川11:32 → 平岩12:04 (JR大糸線 430D キハ52-115)

ここからは大糸線で一路平岩を目指す。
改札をくぐると反対側のホームに一両編成の気動車がお出迎え。跨線橋を越えて大糸線ホームへ行くと、既に多くの荷物を持った列を作っていた。恐らくこのあと特急に乗り継いで東京へ帰るUターン客だろう。
果たして一両で足りるのだろうか?などと考えていると、ドアが開いた。一斉に雪崩れ込む客に混ざって私も車内へ。幸い一人だったのでボックスに運良く一人分だけ空いている所を見つけ早々に座った。

キハ52-115

ボックスの向かいに座っていたのは東京から一人旅してきた様子の小学生。窓を全開に開けて発車までの少しの間、ホームまで見送りに来ていた親戚の人らと楽しそうに喋っていた。
そんな微笑ましい光景を眺めつつ、列車は溢れんばかりの客を乗せ、定時に南小谷へ向けて発車した。

キハ52と言えば新潟色のを羽越線や磐西線で何度か乗ったことがあるが、大糸線は初めて。というか大糸線に乗ること自体初めて。この辺は車でしか走ったことがなかったので、これまでとは違った車窓を楽しんだ。
ふと、窓の下に目をやるとセンヌキの姿が。今時センヌキ使うジュースも売ってないし、ここで瓶ビールの栓空けて酒盛りする輩もいないだろうからきっと出番は殆ど無いのだろう…

センヌキと姫川

糸魚川から姫川と山の間をトレースするように走り続けて30分、ようやく平岩駅に到着した。
平岩駅では5分ほど停車しているのでまったりとホームより列車を眺める…。白馬岳登山客などが降りるかと思われたが、結局降りたのは私と地元民思しき人の2名だけだった。

平岩駅


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